先に確かめる四つ:重さ・防水・排水・風
重さから見ていきます。屋上に載せられる重さは建物ごとに決まっていて、上限を知っているのはその建物の構造の設計者です。法令が屋上やバルコニーに見込む重さ(床の計算で1㎡あたり約183kg)は設計のための計算の値で、その建物に載せられる上限を示すものではありません。
土は、思うより重いものです。雨を含めばさらに重くなり、重さは土の厚さに比例して増えます。軽く作った人工の土を使えば、同じ厚さでも重さを抑えられます。もうひとつ見落としやすいのが、重さのかかり方です。大きな鉢や浴槽の重さは屋上全体に均されるのではなく、その底の面に集まります。たとえば湯を張った浴槽 HALO は約560kgで、底の面積約1.33㎡で受けるため、その面には1㎡あたり約420kgがかかります。置く物の重さと底の寸法を一枚の図にして設計者に渡すと、置ける位置が具体的に返ってきます。
防水と排水:穴を開けず、水の道を残す
屋上の床は、防水層で雨水を止めています。アンカーやビスで物を留めると、防水層を貫いて雨水の入り口になるため、屋上では床に穴を開けず、置いて据えるのが基本です。
防水は、表面のトップコートを5年前後ごとに塗り直すのが目安で、防水そのもののやり直しは種類ごとに10〜25年ほど。上に庭をつくった後のやり直しは、植物も床もすべて外す大きな工事になります。着工の前に防水の状態を確かめ、年数が来ているなら先にやり直しておくのが順番です。
排水の相手は、土と落ち葉です。鉢の底から流れた細かな土や枯れ葉は、排水口に集まって水の流れを止めます。排水口のまわりには点検口を設け、掃除と点検ができる形にしておきます。プランターの底穴の有無と、抜けた水の行き先も、置く前に決めておく所です。
風と日差し:屋上に向く植物と置き方
屋上は地上より風を受けやすく、台風の前には飛びそうな物を固定するか片づけることが求められます。植物も同じで、背の高い木は風で鉢ごと倒れやすいため、重い鉢に植えるか、デッキやフェンスと一体にして据えます。
向くのは、乾きと風に強く、根を深く張りすぎない植物です。夏の屋上は照り返しで地上より乾くので、ドライガーデンに使われる植物や、葉の厚い低木が扱いやすくなります。水やりの手間は、屋上に水栓があるかどうかで大きく変わります。水栓が無ければ、計画の初めに引けるかを確かめます。
日差しは、緑だけでは和らぎません。過ごす時間を夏の昼まで延ばしたいなら、パーゴラやシェードで日陰を一か所つくり、植物はその外側に置くと、人にも緑にも無理がありません。
南青山の屋上では、風の通り道に背の高い木を置かず、壁の緑と低いプランターで囲みました。見上げる緑より、座った目の高さにある緑のほうが、屋上では長く楽しめると感じています
小さな屋上に、緑を足す素材
広さの限られた屋上では、床と壁で緑の量を増やします。床には人工芝やタイル、壁や手すりの内側には壁面緑化。水やりの要らない素材を混ぜると、重さと手入れを抑えながら庭の印象をつくれます。
人工芝は、庭用の GARDEN 01・02 が芝の長さ25〜40mm。屋上では、下地と排水、固定の方法を置く場所に合わせて確かめます。壁面緑化は人工の植物で、3つのセレクション全42種から組み合わせられ、価格は ¥8,300〜/㎡(税抜)。床をタイルで整えるなら、厚さ20mmの大判タイル(¥8,800〜/㎡・税抜・100㎡から)が、室内の床と色をそろえる選び方になります。
法人の屋上で、緑が価値になる
ビルやホテル、賃貸の建物では、屋上の緑は眺めのためだけにあるのではありません。防水を守るだけだった屋上に過ごせる場所をつくれば、貸し出しやイベント、屋外の会議の場、入居者やテナントの共用ラウンジとして、建物に新しい収入と選ばれる理由が生まれます。宿泊に使う場合は、住宅宿泊事業法・旅館業法などの条件を計画の段階で確かめます。
ANKER & ZIMMER の屋上庭園
ANKER & ZIMMER の屋上は、床のデッキとフェンス、パーゴラを一体で組み、建物に打ち付けずに据えるつくり方です。部材どうしが支え合うので、防水層に穴を開けずに、屋根のある居場所と緑を一緒に計画できます。木の構造 HOLZNETZ の Cube は、打ち付け工事が要らないため屋上にも置ける型です。
緑は、ドライガーデンやリゾートに向く植栽と大型のプランターから、置く場所に合わせて大きさと置き方を提案します。GFRC のプランター BETTI FACETTA は直径800×高さ485mmで ¥176,000〜(税抜)、底穴の有無を指定できます。進め方は、現地で防水と排水、手すり、搬入の経路を見て、重さを確かめ、一体で設計し、運んで組む順。クレーンでの搬入にも対応しています。
ビルに囲まれた屋上に、緑とパーゴラとサウナを置いています。土の庭でなくても、緑に囲まれて座れば、そこは庭になる。それを確かめに来ていただく場所です