工事で見る所
給湯と排水。要るのは、湯を張る水栓と、建物の排水設備につなぐ配管です。排水金具と口径32mmの蛇腹排水管が付属します。出し方は、本体の下から横へ伸ばす側面出しと、床にピットを設けて下へ落とす底面出しの二つ。浴槽にトラップは付いていないので、建物側の配管に設けます。客室ごとに引く場合は、給湯器の能力も室数で見ます。
床と重さ。湯を張った重さは、円形の HALO が約560kg、楕円の OREN が約474kg、角形の CIRQ が約826kg で、入る人の体重が加わります。屋上の床が法令で見込む重さは1㎡あたり約183kg(設計値)です。CIRQ は満水で約826kg、人が入ると浴槽の面に約1t がかかります。置く面の実際の強さを設計者に確かめてください。屋上に貸切の部屋を作る計画では、ここが最初の分かれ目です。
防水。2階以上のテラスでは、浴槽の縁より高い防水層を設け、配管の取出し部も防水します。
搬入。浴槽は一体成型で分解できません。最小の HALO でも φ1300×H550mm、本体は110〜256kg。扉・廊下・エレベーター・階段を実寸で確かめます。
法令で見る所
分かれ目は、誰が使うかです。旅館業の許可を受けた施設で、宿泊者だけが使う浴槽は、公衆浴場法の許可が要らないとする自治体の案内があります。その場合も、旅館業法の変更の届出が必要になることがあります。露天風呂付き客室は、この形です。
貸切風呂は、宿泊者だけに貸すか、外来の方にも貸すかで変わります。宿泊者以外の方も使う場合は、公衆浴場法の許可が必要になります。日帰りの入浴を売る計画があるなら、計画の段階で保健所に相談してください。
温泉を使う場合は、温泉を浴用に使う手続きが別に関わります。私たちの浴槽の推奨は水道水です。温泉水は試験を行っていないため、温泉水に起因する不具合は保証の対象外で、事前に温泉の分析書(泉質)をお見せください。
消防は、浴槽ではなく給湯の設備に関わります。給湯器の種類と置き場所によって届出が要ることがあるので、所轄の消防署で確かめてください。衛生は保健所、消防は消防署、床は設計者。着工の前に三つを回ります。
運営で見る所
清掃。使うたびに張って流します。手入れは温水と中性洗剤で拭いて流す手順で、客室清掃の中で済みます。貸切風呂は、予約の枠の間にこの手順を入れるので、枠の間隔は清掃と湯を張る時間で決まります。
水質。水を溜めたまま保つ設備が無いので、薬剤の濃度を測る仕事がありません。表面に白華や細いひびが出ることがありますが、素材の性質で、不具合ではありません。
冬。寒い季節は、使った後に水を抜きます。水抜きをしなかった凍結の破損は保証の対象外です。
複数室。客室ごとに置いても、止まる機械がないので、点検に回る仕事は増えません。
浴槽を置いてから、予約の画面で選ばれる部屋が変わった、と運営者から聞きました。もうひとつは、清掃の時間が読めること。張って流すだけなので、客室係の仕事が増えた感じがない、という話でした。
温浴施設の流れと、一室に二つの浴槽
ここ数年、宿の中に温浴の時間を組み込む計画が増えています。客室や貸切の部屋に湯と水の両方を置けば、一つの部屋の中で温浴の流れが完結します。
実際に、一室に二つの浴槽を置く設計の相談が、ホテルとヴィラから届いています。湯の浴槽と水の浴槽を客室テラスに並べる計画では、最初にテラスの床と排水の先を見ます。二つ置くと、湯を張った重さと排水の量がそれぞれ足し合わさるからです。二つ置く場合の条件は、重さと排水と給湯の能力をそれぞれ足し合わせて見ます。
オリジナル製作と導入の流れ
既製は円形の HALO、楕円の OREN、角形の CIRQ、一人用の SOLO の四つで、¥420,000〜¥902,000(税抜)、色は8色です。価格に含まれるのは浴槽本体で、輸送費・設置工事・給排水工事は別に見積もります。客室の寸法に既製が合わないとき、10台以上のご注文で、形・寸法・素材・ロゴまで設計して製作するフルオーダーに対応します。納期は5か月前後です。
導入は相談から始まります。法人のご相談フォームから、施設の種別・客室数・予定地・時期をお知らせください。次に現地で、床の強さ、排水の先、給湯、搬入経路を見ます。見積もりは本体・輸送・設置・給排水工事を分けてお出しし、ご発注の確定後に正式な図面と仕様書をお出しします。既製の納期は3か月前後。SOLO は予約受付中で、お届けは2027年4月からです。工事を伴う場合、着工金は代金の30〜50%、残りは出来高に応じて。実物は青山のショールームでご覧いただけます。