手入れと耐久:木の乾燥、鉄の錆、コンクリートの白華
檜の桶は、湿っている時間と乾いている時間の繰り返しで姿が変わります。使い終えたら水を切り、風を通して乾かす。これを続けると香りが長く残り、怠ると黒ずみとひびが先に来ます。木の浴槽を屋外に置くと、雨と日差しがその繰り返しを速めるので、屋根の下に置くか、使わない期間は覆うことになります。公開されている情報から見た目安では、屋外での寿命は手入れで数年から十数年まで幅があります。
鋳鉄は錆と付き合う素材です。表面に焼き付けた膜や塗膜が保たれていれば長く使えますが、欠けた所から錆が進みます。使い終えたら湯を抜いて乾かすのは、檜と同じです。火を使う釜は、煙道と灰の掃除も加わります。
GFRC(ガラス繊維で補強したコンクリート)は、屋外に置いたままにできる素材です。日々の手入れは、温水と中性洗剤を柔らかいスポンジに付けて拭き、清水で流す。長く使ううちに、表面に白い粉が出る白華や、髪の毛ほどの細いひび(幅1mm以内)が出ることがあります。コンクリートの一族に共通する素材の癖で、使うことには差し支えありません。素材の詳しい説明は、用語のページGFRC とはにまとめています。
屋外に置く条件:重さ・排水・冬
露天風呂の素材をどれにしても、屋外に置くときに確かめることは同じ三つです。
重さ。ANKER の場合、湯を張った重さは HALO 約560kg、OREN 約474kg、CIRQ 約826kg で、これに入る人の体重が乗り、CIRQ では1トン前後になります。五右衛門風呂は釜に加えて、据え付けの土台が要ります。庭の地面なら基礎の要否を土で判断し、屋上やデッキなら設計者に積載荷重を確かめます。
排水。排水の先を決めてから、置く場所を決めます。給湯と排水の配管は、水道工事業者が行います。
冬。檜も鋳鉄もコンクリートも、水を残したまま凍らせると傷みます。凍結のおそれがある地域では、浴槽と配管の水を抜いておきます。
半露天風呂にする場合:屋根と壁、視線
庭の風呂は、屋根と壁を少し足すと半露天風呂になります。屋根があれば、檜の桶は雨と日差しから守られ、どの素材でも雪の日と雨の日に入れます。壁は、風を遮るためと、視線を切るためです。隣家の二階、道路、自分の家の窓から、浴槽のどこが見えるかを、置く前に立って確かめます。
素材との相性でいえば、檜風呂は屋根と壁があるほうが長持ちし、鋳鉄の風呂は煙の抜け道を屋根の形で考える必要があります。置き型の浴槽は屋根が無くても置けますが、湯に浸かりながら見える景色を決めるのは壁の高さです。開く方向を一つに絞り、残りを閉じる。それが半露天の落ち着きを作ります。
ANKER の置き型:四つの型と八色
私たちのアウトドアバスは、GFRC で作った、湯に浸かるための浴槽です。形は四つ。円形の HALO(φ1300×H550mm・¥605,000〜)、楕円の OREN(L1650×W820×H620mm・¥638,000〜)、角形の CIRQ(L1480×W1480×H600mm・¥902,000〜)、一人用の SOLO(L1320×W710×H780mm・¥420,000〜・お届けは2027年4月から)。価格は税抜の本体で、輸送と設置、給排水の工事は別です。
人数は、HALO と CIRQ が2〜3人、OREN が1〜2人、SOLO が1人。色は八色のセミオーダーで、外壁や床の色に寄せるか、植栽の中で沈む色を選ぶかで庭の印象が変わります。納期は三か月前後の受注生産です。オーバーフロー穴のあり・なしは注文時に選べ、循環やチラーのための穴あけは別途お見積りで承ります。
檜のお風呂を、と言って来られた方が、話の途中で手入れの話に差し掛かると、少し考え込まれます。別荘で月に数日しか使わないなら、乾かす手間を続けられるか。その問いの先で、置いたままにできる素材を選ばれることが多いように思います。
ショールームで見本に手を置くと、思っていたより温かい、と言われます。コンクリートの冷たさを想像して来られるのですが、肌は石に近く、湯を張れば木とも鉄とも違う触り方になります。